2013/09/06

ひとまわり

12年前のちょうど今ごろ。
ちょっと低い声で泣く、真っ黒まんまるな目の彼女と初めて会いました。
わたしの娘。

ことしの夏。
本当に毎日暑くて射すような日差しの下、彼女は文字通り、毎日毎日コートの上でボールを追ってました。内心、もう音を上げてくれないかなあ、と送迎するハハは思ってました。ごめん。
球がバウンドしてからえいっ!とラケットを振ってたようなコが、それなりにラリーができるようになり、まだまだ低い位置だけどサーブも上から打てるようになり、バックハンドでも返球できるようになり。ただひょろりと長かった足には、いい感じに筋肉がついてきました。(ただし真っ黒。

小さい頃からひとより一歩遅れているようなコでした。やってみては転んで、でもいつも前向きで少しずつ自分の力で進んでいく。
テニスもまだまだ上手くないけれど、練習は裏切らない…できることがひとつひとつ増えていく。人と比べれば下手だけど、彼女の中では小さいながらも成功体験を積み重ねていて、それが「やればできる」という自信になっていく。
好きなことで経験したしんどさや辛さは、それを乗り越えた時、必ず自信になると思うのです。その自信はスポーツ以外でも歳を重ねてからも支えになる。

涼しい風が吹いてきました。
シングルス戦、秋の県予選、修学旅行、まだまだ忙しい日は続きます。ほぼ対等の目の高さで話せるようになってきた娘から見下される時がどんどん近づいています。わたしの役割は少しずつ減っていきます。
彼女の世界が少しでも広く、楽しく、未来につながるものであるように。少しずつ後ろに下がりながら、それでも見守っていけたらなあ、と思うのです。